どうぶつ村は人と動物が共生するためのルール作りの基盤を作り上げていきたいと考え、福岡市東区を拠点に
地域ボランティア活動やドッグランの整備を進めております。

理事長エッセイ 敗血症からの甦り 第6章「貴重なる体験」

体重測定

入院2週目頃から、毎朝体重を量りにくるようになった。
シーツ状の布の両サイドが袋縫(ふくろぬ)いしてあり、そこにステンレスの板を入れて鎖で持ち上げハカリで計測する。
立てない患者用に寝たま量れるように工夫された道具だろうが、乗せられるほうも不安定で首が()る。
せっかく新しい病棟になったのであれば、ベッドに寝たまま量れるような設備を廊下の一角にでも設ければよかろうと思って聞いたら、自分が係りになった10年前からすでにこのやり方だそうだ。
朝6時とともに『起きてますか?体重量りましょうか?』とくる。
寝起きに大変だな〜と思ったが、「いいよ。起きてるよ。」
『お願いしまース』
と3日間くらいは我慢したが、朝イチで快くOKしてくれる患者はあまりいないみたいで常に一番で応えるには苦痛を伴う。
「今日は少し後にしてくれないかなー」とお願いすると、朝食が来そうなぎりぎりの時間帯に延ばされ始めた。
先生に話をすると。
『それじゃ4〜5日おきに測定しましょうか』と即変更となった。
以降は普通の乗っかる体重計をもってきた。
何でも先生に相談するのが一番だとつくづく思った。

理学療法士(りょうほうし)

何でも先生に相談すれば何とかなると思い。
ベッド生活に身体が悲鳴を上げ始めていたので、外からマッサージ呼べないか聞いてみた。
『外からというのは出来ませんが、病院内に理学療法士(りょうほうし)がいますので相談してみましょう』
早速、翌日にまさしく癒し系の美人療法士さんが来てくれた。
『15分ほどのマッサージしか出来ないのですが』
足の甲から足首関節、大腿筋から股関節稼動領域(かどうりょういき)拡大を主に、やさしく羽毛でなでられるがごとく笑顔付で(いや)される。
『今日はこれで終わりですが、明日また来ます』
その時間が待ちどうしくなるくらい(いや)された。
翌日。『今から始めますね』との声を聞き、足に触れられただけで気が遠くにいってしまい、気がついたら誰もいなかった。
看護師さんに聞いてみると「始めたとたんに眠られてしまった」と記録にありましたよとの事であった。
回復傾向への(あかし)なのかもしれない。

静脈瘤(じょうみゃくりゅう)検査

全般的に血液内の数値が落ち着いてきた。
というより数値が良くなってきたものも出てきた。
従い検査も総合的に再度行うこととなり、胃カメラで静脈瘤(じょうみゃくりゅう)有無(うむ)を調べることになった。
以前、胃カメラにはいやな思いがあり、オエオエ吐きながら泣きながら、大変な思い出が残っていた。
イヤダイヤダと思いながらその日が来た。
点滴の穴から痛みを抑える薬剤が流された。
上腕に激痛が走ったが、肩を過ぎるとホワーとなり、目の前にぶら下がる胃カメラまで見えていたが、目が覚めるとそこは我が病室の天井だった。
どうしたのだろう?
看護師がやってきたので聞くと、『始まってすぐ眠られ、その間にすべてが終わりました。』
『静脈瘤はなく、十二指腸潰瘍(かいよう)の後が二箇所ありました。』
20年ほど前に2年続けて潰瘍(かいよう)になったことがあり、そんな後まで残っているのかと感心させられた。
しかし眠っているうちにすべて片付きラッキー。

次章、仏様登場。
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