どうぶつ村は人と動物が共生するためのルール作りの基盤を作り上げていきたいと考え、福岡市東区を拠点に
地域ボランティア活動やドッグランの整備を進めております。

理事長エッセイ ドッグラン伝道話し 「ワンワン伝道」Part2

子どもの遊び、犬の遊びから

全国小学校の校庭に誰もが立ち入ることができなくなって、かれこれ10年以上は過ぎたのではないだろうか。
ある事件から誰もが入れた小学校の校庭風景は変わった。
もちろん閉鎖された門の中で放課後遊ぶ子どもの数も減った。
公園に大きな広場はあっても、遊ぶ子どもは少ない。
子ども達はどこに行ってしまったのだろう。
増えたのは家の中で遊ぶ子ども達。
友達が来て遊んでいるが、遊びの中心はゲーム機である。
学校の校庭や公園で子ども達が生き生きと遊んでいた風景がなくなった。
実は人間の社会と似たような状況が犬社会にもある。
一時期は芝生の公園とか広場は犬たちにとっても飼い主と戯れることのできる楽しい場所であった。
ところが世の中、犬が好きな人ばかりではなく大嫌いな人もいる。
公的な場所を利用して犬好きな仲間が集まっていたとしても、或る時たとえ独りでも犬を嫌いな人がその場所を利用しようと訪れれば、その場所で再び犬好きが集まることに支障が出てくる。
川土手や、町の散歩道、公園にも犬の糞とルールマナーを呼びかける看板の数は多い。
散歩道の放置された糞が無くなることを目的で伝道場(ドッグラン)は生まれた。
伝道場を訪れる犬たちの何割かは他の犬との遊びを知らない。
飼い主のそばを離れようとはしない。
それでも我慢強く飼い主が連れてくる犬は、飼い主を中心とする円の半径が少しずつ広くなり、やがてお気に入りの仲間が出来、飼い主を忘れて遊びに没頭するようになる。
気の合う仲間と走り回る犬たちを見守る飼い主たちは皆笑顔である。

パピークラス(生後1年未満)の子ども達は怖さがない。
誰とでも遊べる。
30年前にドッグランがあれば、ここから生まれる素晴しい笑顔が日本の教育現場を変えていたかもしれない。

連れて来て良かった。
犬の嬉しそうな姿を見て、また連れてこようと思う。
しかし、経験が浅く、怖がりさんだと飼い主はすぐに抱き上げてしまう。
怖がり、足にすがられようと我慢しなくてはと思っても、つい抱き上げてしまう。
そのような飼い主は次第に足が遠のき、やがて来なくなる。
こんな風景を長く見ていると犬を見守る飼い主が、子を育てる親と同じに思えてくる。
親が、飼い主が、我慢強く育てる意欲が子どもを、犬を逞しくする。
そう考えると、今の世に、この施設を必要とする多くの人々がいる現実を実感する。
人間社会で子育ての実戦経験を多く持つ飼い主は犬の扱いも上手い。
まだ子を持たない若いカップルは、そのようなベテランの方々に犬の扱いで助言指導を受け、将来の子育てに生かせる経験を授かるチャンスがある。
そのような交流が「伝道場」というネーミングに込められた“思い”であることを来場者が少しでもご理解いただけると管理者は嬉しいのです。

 
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